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Q&A

10.
会社が労働者の心身の健康に対して負っている注意義務の内容はどのようなものですか?
仕事に伴う疲労やストレス等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っています。

 自殺における使用者の不法行為責任について、電通過労自殺最高裁判決(判例時報1707号87頁)は、

労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである

と述べています。これは上司等使用者に代わって労働時間管理を行う者(代理監督者といいます)の注意義務違反についての使用者の責任に関して判断したものですが、安全配慮義務における注意義務についても同様の責任が使用者にはあります。

 この電通事件・最高裁判決は、自殺事案ですが、脳・心臓疾患などの過労死事案にも射程が及ぶものと考えられます。

 したがって、過労死・過労自殺の事案では、心身の健康を損ねることが明らかな長時間労働や過重な業務に従事させていることが認められれば、使用者の責任が原則として認められるといってよいと思います。

 そして、より具体的に整理すれば、使用者は、業務の遂行に伴う疲労が過度に蓄積して労働者の健康・安全を損なうことがないように、以下の1~4の義務を負っているといえます。

  1. 労働時間、休憩時間、休日、休憩場所等について、適正な労働条件を確保する義務
  2. 健康診断を実施して労働者の健康状態を的確に把握して健康管理を行い、健康障害を早期に発見すべき健康管理義務
  3. 労働者の年齢、健康状態等に応じて勤務軽減、従事する作業の転換、就業場所の変更等労働者の健康保持のための適正な労働配置措置を講じる義務
  4. 過労により健康障害を発症または発症した可能性のある労働者に、適切な看護、治療を受けさせるべき義務
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