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Q&A

9.
どのような場合に、企業の民事責任は認められるのでしょうか?
危険な作業に従事させていて、広い安全配慮義務を怠っていた場合等で認められます。

 労災についての企業の民事責任が認められる法的根拠は、雇用契約に付随した使用者の債務である安全配慮義務と不法行為上の注意義務があります。不法行為の責任を追及した方が遅延損害金(事故日や死亡時から請求できる)や、弁護士費用の請求(安全配慮義務では請求できないとの考え方もある)の点で有利です。

 しかし、不法行為責任は3年の時効で消滅しますので、死亡日から3年が経過したときは安全配慮義務(10年が時効です)で請求することになります。

 不法行為上の注意義務と安全配慮義務の内容は完全に同じものでないという見解もありますが、内容は大きく重なっているといってよいでしょう。

 安全配慮義務という考え方は、陸上自衛隊八戸車輌整備工場事件・最高裁昭和50年2月25日判決が、

国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っている」「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものである

と判示して確立させました。

 また、川義事件・最高裁昭和59年4月10日判決は、民間の使用者についても、

使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っている

と判示して安全配慮義務を認めています。

 そして、川義事件・最高裁判決は、使用者の右の安全配慮義務の具体的内容は、

労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なる

として、安全配慮義務の内容は具体的な状況によって決まると示しています。

 たとえば、企業において、労働者に危険な作業に従事させているのであれば、設備・機械の設置状況、操作方法などの安全教育、人員配置、安全管理体制などについて最低限の基準である労働安全衛生法よりも広い安全配慮義務を負っているというべきでしょう。

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